ビットコイン、2019年以来で最悪の11月に アナリスト「2026年の好スタートにつながる」2025-11-28 17:21:20
ビットコインは少なくとも2019年以来で最悪の11月を迎える見通しだが、一部アナリストは、投資家の一部が買い戻しに動く可能性があるため、これが2026年の好スタートにつながると指摘している。
1. 記事の概要
「コインテレグラフ ジャパン」の記事は、「ARKインベスト」のCEO兼最高投資責任者であるキャシー・ウッド氏が、ビットコイン(BTC)の強気シナリオにおける2030年までの150万ドルという価格予測を維持していることを報じている。この強気な見通しの背景には、米国の金融環境の改善と金融政策の転換という、仮想通貨市場にとっての大きな追い風があるとされています。
記事の主要なポイントは以下の通りです。
- 流動性の回復: 米政府閉鎖の終了により、すでに約70億ドルの資金が市場に戻っており、今後5〜6週間で財務省一般勘定(TGA)の正常化に伴い、さらに300億ドルが市場に戻る見通しです。
- 金融政策の転換: 記事の時点において、米連邦準備制度理事会(FRB)が12月1日に量的引き締め(QT)を終了し、量的緩和(QE)へと転換すると予測されています。これは、債券購入を通じて市場に流動性を供給し、経済活動を刺激する措置であり、株式市場と仮想通貨市場の反転(リバウンド)の条件が整うとARKは指摘しています。
- ビットコインの強気予想維持: キャシー・ウッド氏は、仮想通貨市場が流動性の逼迫によって調整局面にあるものの、2030年のビットコイン価格の強気シナリオ(150万ドル)を維持しています。彼女は、ステーブルコインがビットコインの役割の一部を代替したものの、金価格の上昇が想定以上であったため、総合的に見て強気シナリオは変わらないと説明しています。
- 他の強気論: ビットメックス共同創業者であるアーサー・ヘイズ氏など、他の著名なアナリストもFRBのQE転換が実現すればビットコインが大幅に上昇する(25万ドルまで)と予測しており、市場全体が金融環境の改善に大きな期待を寄せています。
- 市場回復の条件: 一方で、市場が確固たる上昇トレンドに戻るには、ビットコインが9万2,000ドルの水準を明確に回復する必要があるという技術的な見解も示されています。
2. 現在の経済状況から今後の動きの予想
記事の内容を踏まえ、現在の金融市場の状況と、FRBが量的緩和(QE)に転換するという前提に基づいた今後の経済および市場の動きを、仮想通貨市場を以下に予想します。
金融政策の転換と市場の反応
記事の核心は、米国の金融政策が「引き締め(QT)」から「緩和(QE)」へと劇的に転換するという予測です。もしFRBが実際に12月1日にQEに踏み切れば、それは市場にとって極めて大きなターニングポイントとなります。
現在の経済状況は、インフレ圧力の長期化への懸念、それに伴う高金利環境の継続、そして一部セクターにおける流動性逼迫が複合した状態にあります。FRBがQEに転換するということは、この高金利・引き締め環境が経済に与える負の影響(特に流動性)が、FRBにとって無視できないレベルに達したことを示唆します。FRBが「市場の安定」や「経済活動の刺激」を優先し、再び市場に資金を供給し始めることは、以下の動きを引き起こすでしょう。
今後の動き:資産価格のインフレとドルの価値
- 仮想通貨市場(ビットコイン)の爆発的上昇
QEは、市場に「無リスク」とされる大量のドルを供給します。これは、実質的にドルの希薄化を意味し、発行上限が固定されているビットコインのような「ハードマネー(デジタルゴールド)」にとって、最大の追い風となります。
- 強気シナリオの実現性: キャシー・ウッド氏の150万ドルという予測は極めて強気ですが、QEという前例のないレベルの流動性注入は、その実現に向けた「根本的な力」となります。短期的に見れば、アーサー・ヘイズ氏らが指摘するように、ビットコインは9万2,000ドルという心理的・技術的なレジスタンスラインを突破し、史上最高値を大きく更新する可能性があります。
- 資金の集中: QEによって溢れ出した資金は、高成長・高リスク・高リターンが期待できる資産に向かうのが常です。その筆頭がビットコインであり、AI関連銘柄やアルトコインなどのハイテク・ハイパーグロースセクターにも資金が流れ込むでしょう。
- 伝統的な金融市場(株式・債券)の動向
- 株式市場: QEは一般的に株式市場全体を押し上げます。特に、借入コストの低下は、高成長だが利益率がまだ低いハイパーグロース企業(記事で言及されたAI関連など)のバリュエーションを正当化しやすくなります。NASDAQのようなテクノロジー株主体の指数は、流動性の恩恵を最も受けるでしょう。
- 債券市場: FRBが債券を購入することで金利が抑制され、債券価格は上昇(利回りは低下)します。しかし、QEが長期的なインフレ懸念を再燃させる場合、長期金利は再び上昇圧力を受ける可能性もあります。
- マクロ経済への影響:再燃するインフレリスク
FRBがQEに転換する最大の代償は、インフレの再燃リスクです。
FRBがインフレ抑制を完了していないにもかかわらず緩和に転じた場合、市場は「FRBは株価を優先する」と解釈し、インフレヘッジとしての現物資産(金、コモディティ、そしてビットコイン)への需要がさらに高まります。これは、QEによる短期的な経済刺激効果と、長期的なインフレ懸念という、二つの相反する力を生み出します。
リスク要因と長期的な見通し
この強気なシナリオの最大のリスクは、「FRBがQEに転換しない」ことです。
- 政策の継続: もしインフレが予想以上に頑強で、FRBがタカ派的なスタンスを維持し、QTを継続した場合、市場は期待の裏切りに直面し、流動性逼迫は継続、またはさらに悪化する可能性があります。その場合、仮想通貨市場は厳しい調整局面を抜け出せなくなります。
- 予期せぬ経済ショック: 銀行部門の予期せぬ危機や地政学的な大規模な衝突など、FRBの金融政策転換をも上回るネガティブな外部ショックが発生した場合、市場はリスクオフへと転じ、すべての資産が一時的に売られる可能性があります。
総合的な今後の見通し
記事が示唆するFRBのQE転換は、今後数年間の金融市場の方向性を決定づける最も重要な要素となるでしょう。短期的な流動性逼迫は数週間で緩和に向かい、QEが発動されれば、2024年から2025年にかけては、2020年代前半に見られたような「流動性主導の強気相場(リキディティ・ブルマーケット)」が再来する可能性が極めて高いと予想されます。この強気相場において、ビットコインは伝統的な資産(金)やハイテク株を上回るパフォーマンスを発揮し、キャシー・ウッド氏の強気予測の足がかりを築くことになると考えられます。市場の焦点は、金融政策の転換が「いつ、どのような規模で」実施されるかに移るでしょう。


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